テキサス⇔メキシコの国境というと麻薬戦争による世界でも最も危険なエリアの一つ。連日の報道でもその終息の見通しが全くつかない過激な抗争の模様を知ることができる。国境における問題は米墨戦争、テキサス独立戦争(アラモ砦の戦い)、メキシコ独立戦争、さらにはスペイン支配下の独立運動以前と、さまざまな歴史があるわけですが私の勉強不足なところもあり割愛させていただければと。
〜MIX CULTURE "TEX・MEX"〜
テハーノ(Tejano)は、テキサスに住むヒスパニック系住民で、その多くはメキシコやプエルトリコ、キューバから渡ってきた人々。(今では人も文化もテックスメックスと呼ばれることが多く、テキサスの文化を語る上で一つのアイデンティティとも言える)
国境は合法違法問わず、世界で一番多くの人々が国境を行き来しており、そのほとんどが出稼ぎや安定した生活を求めての移住と言われている。やはりアメリカとメキシコの生活水準の格差が大きな要因である。
しかし、そんな国境エリアでも政治的ではなく文化的な視点で見ると、音楽や装飾、食べ物や言語に至るライフスタイルまでが仲介なしに混ざり合っている。現在の文化交流などという人工的な出会いではなく、時代の流れの中で必然的に生まれた異文化の産物であり、世界中のクロスカルチャーとはそういうものだと個人的には思っている。
〜SOUND OF TEJANO〜
遡ること1700年代(日本では江戸時代)、テキサス最南端のリオ・グランデ・ヴァレーにテハーノはやってきた。過酷な労働に従事させられる日々を過ごしていた彼らは、ドラムを基調としたギターやフルートの演奏で歌われるスペインやメキシコの伝統的な歌に耳を傾けた。当時のテハーノミュージックは原始的な演奏による伝統音楽だったが、メキシコ革命以降はテキサスに多くのヨーロッパ系移民が流れ込み、ポルカやワルツといった他ジャンルの影響を受け少しずつ変化していった。現在のテハーノにはアコーディオンやヴァイオリンが多く使われているが、これらも1800年代にアメリカやヨーロッパからもたらされたものだ。そのため、、ということでもないがアメリカ・テキサス産であるテハーノはメキシコ"的"音楽の中でも最も資本主義寄りなサウンドだろう。もっと土臭いメキシコの大衆的な音楽はマリアッチやノルテーニョ、コリード、バンダなどがある。
〜LYDIA MENDOZA〜
「La Alondra de la frontera」(国境の歌い手)と呼ばれ、愛されたメンドゥーザは2007年に亡くなるまでに200曲以上を録音し50枚以上のアルバムを残しており、国家芸術勲章「National Medal of Arts」や「National Heritage Award」(人間国宝のようなもの)にも選ばれている。
テハーノにカムバック。一般的にいわれるポップミュージックとは違い、こういった民族・伝統・継承音楽というのはどうしても形容しにくいところがある。「〜のアーティストに近い」とかグランジ、テクノポップ、AOR、ダブ、スウィングジャズというおおまかではなく詳細な形容がないため、ガイドブックなんかを読んでもそのサウンドを想像しにくいところがある。実際に聴いても表現に困るのが現実である。。
ポップミュージックだろうがなんだろうが、どんな音楽でも実際聴いてなんぼ、みたいなことは個人的に思っているわけですが、そこに入るための入り口としての音の形容というのは自分にとって魅力的でないと、それが実際に好きになる音であっても出会うことはできないのである。なので僕はできるだけ多くの音楽を聴いていきたいし、どういう音か伝えるのに一番良い方法は聴くことだと思う。
と、いうことでテハーノ色々↓
Lydia Mendoza "Mal Hombre"
Chelo Silva "Cheque en Blank"
Esteban Steve Jordan "Clockwise" live
Isidro Lopez "Mi Ultima Parar"